契約関係で注意しておきたいポイント


契約に関連して注意しておきたいことや知ってきたいことは結構あります。
他のページでも紹介していますが、契約は意思表示によって成立する前提もあり、書面はなくとも成立するというところにも注意が必要です。
商品の購入などで口頭で購入を希望したり簡易的な申込書等を差し入れ後日「契約書」を差し入れるというような場合、 内容によって「意思表示」をした時に契約は成立しているケースも考えられます。

しかし、口頭で伝えら何でも契約が成立するという解釈も正解でもありません。 冗談であったり通常の状態でない場合(泥酔状態・強要された等)無効・取消原因等となることについても民法で定められています。
このあたりは常識レベルでも判断できるかと思います。

契約をする場合は、事前に相手方に確認し、書面等がある場合はひと通り内容を確認するほうが良いです。
【追記】2020年4月1日からの保証に関する民法の改正に伴い、「個人の根保証契約での極度額の設定」や「事業用の融資における保証の場合での、公証人による”保証意思手続き”の新設※一定者は除外あり」等 保証契約でのルールが厳格になっています。(非対応の場合無効となる)
下記には、その他、契約書を作成する際や契約後の対応等での主たる注意事項を抜粋しています。

契約で知っておきたいこと:用語他

期限の利益

「期限の利益」とは例えば金銭貸借の場合
毎月一定額を弁済するとか、1年後に利息と元金をまとめて支払う様な契約が多いと思われますが、その期間までは全額を弁済しなくて大丈夫「期限の利益」という事になります。
「期限の利益の喪失」は、約定通り支払いがなかったり等、契約内容で定められた内容に該当した場合に発生するもので、通常は経過利息と元金の全額を弁済しないといけないものとなります。

不履行

債務不履行とは、定めた内容通り実施されない事を言います。金銭貸借では期日通りの弁済がされない。その他では商品の提供がされない等です。
通常、不履行は契約解除事由に該当するため注意が必要です。
内容によっては(数量が不足等)補てん・補完義務を負うのみで債務不履行とまでならいないと解釈されるもののあります。

契約違反となった場合の対応

相手方が上記の債務不履行となった場合や契約解除事由に該当することとなった場合、契約に定めた内容で契約の解除等の対応を実施することとなりますが、 その催告をしない(黙認)のは危険です。
「黙認」は、意思表示をしていないが、期限の猶予や損害賠償請求権や契約解除権の不発生を承認したものとみなされるケースがあるからです。
金銭債務等で分割金が1か月滞納したとか、恒常的に数か月分が未納の状態等の場合はこれに該当するかと思われます。
まず請求行為は実施、その後について話し合いができるのであればその内容を書面に定める等対処は必要です。

期日の記載方法

民法では契約日初日は期間に算入しない原則があります。(初日不算入)
契約日から1年間という表現のみの場合。解釈によって1日のズレが生じてしまいます。
例)契約日1月1日⇒契約日から1年間(初日不算入で翌年1月1日となる)
そのズレが無い様に契約書の期日には○年○月○日迄とか○年1月1日~12月31日までと具体的な記載をお勧めします。
危険なのは「商品の引き渡しは契約日より20日以内とする。」・・・というような場合です。

債務の履行の場所の記載

金銭債務であれば、弁済の場所、動産売買契約等であれば物品の引き渡し場所です。 お金であれば通常は送金等の手法を用いることで問題はありませんが、物の場合輸送コストもかかりますので定めます。 記載がなければ債権者の所在地(特定物の場合は当時に存在した場所)となります。

合意管轄の記載

合意管轄とは、万一当事者間で紛争が生じた場合。予め裁判所を取り決めておくというものです。
裁判の場合、被告の住所地を管轄する裁判所に提起するという原則があり、相手方が遠隔地の場合を想定する場合には定目られているケースが多いです。
前記の履行地を定めていれば履行地を管轄する裁判所に提起できるので内容に応じて定めます。

制限行為能力者との契約

制限行為能力者とは、未成年や成年被後見人・被保佐人・被補助人で、これらの者との一定の契約(行為範囲はそれぞれ定められています)では、法定代理人の同意又は追認がない場合取消事由となります。
この場合での契約行為は不安定なものとなりがちですので特に注意の上対応が必要です。

無効な契約への注意事項

ギャンブル資金や人身売買に関連する等「公序良俗」に違反する契約はそれ自体「無効」となります。
その他、「原始的不能」(もともと目的物が存在していない)場合や、「意思能力」がない者との契約も同様です。


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