定款作成のポイント


株式会社の設立では、定款を作成し、公証人の認証を受けなければなりません。

定款には、定款の絶対的記載事項(必ず記載しなければならないもの)と相対的な事項(記載することによって一定の法律関係が生じる事項)及び通常記載される事項があります。
絶対的記載事項といっても、通常会社設立で必要な事項(以下に記載)ですのであまり難しく考える必要はありません。
・会社の商号・目的
・本店の所在地
・設立に際して出資される財産の価格又はその最低額
・発起人の氏名又は名称及び住所
相対的記載事項は会社内容により定めるものとなりますが、代表的な例を以下に記載します。
・株券を発行する旨
・剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定め
・特定株主から自己株式を取得する場合の他の株主の売主追加指定請求権の排除
・譲渡承認の決定機関を株主総会や取締役会以外の機関とする場合の定め
・取締役が株主でなければならない旨の定め
・取締役、監査役の任期の伸張(最長10年)
・監査役の監査範囲を会計監査に限定する旨の定め
・決議要件の加重、通知の発出期間等の短縮
・会社の公告(官報以外とする場合のみ必要)
・・・などです。
実際に登記申請時に登記すべき事項と絡めながら、定款は作成していきます。

設立時に最初に作成する定款はそのまま永続的となるものではなく、事業開始後必要に応じて、株主総会の決議によって変更されていうものです。
公証人の認証も、設立時のみに必要なもので、その後の変更は、会社内部でしていきます。
以下に、標準的な定款として記載事項の項目とポイントを記載しています。

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株式会社の定款の項目とポイント等

中小規模の(取締役会及び監査役非設置及び株式の譲渡制限あり)株式会社での定款項目とポイントを記載しています。

○商号⇒現時点は、アルファベット・アラビア数字・中点等を用いることができます。
○事業目的⇒一定の内容については制限されますが、表現もほぼ事由です。ただし、許可申請を受けようとする場合には、申請業種に合わせた目的を入れておく必要があります。これから実際に行う事業のみではなく、予定している事業目的を記載することもok
○本店の所在地⇒定款では、最終の番地までではなく、大阪市、東京都千代田区等の表記で認証を受けることができます。細かい番地迄記載した場合、同じ地域内で住所を移転した場合、事務手続き上、「株主総会」を開催する必要があります。(途中までであれば、取締役又は取締役会の決定のみで登記変更が可能
○公告方法⇒新聞等への掲載とすることもできますが、通常は官報となります。その他、決算関連で財務諸表の公告をインターネットへ掲載すると決める場合には、定款に記載し登記事項に反映させる必要があります。
○発行可能株式総数⇒あらかじめ発行できる株式数(実際に発行する株式数ではありません)は、登記事項の一つです。譲渡制限会社は、上限の設定はないため事由に定めることができます。
○株券の発行⇒株券を発行する場合には発行する旨の記載が必要
○株式の譲渡制限⇒株式を第三者に譲渡する場合、その承諾者(会社・株主総会等)と条件を記載。
○相続人に対する売渡事項⇒株主に相続が発生した場合の取り扱いです。
○基準日⇒株主に対し配当等を行う場合、たとえば年度に対する配当の支払いは、その事業年度末日時点に株主であった者に対して行う。という趣旨です。
○株主総会関連(招集や議長など)⇒通常は、代表取締役(社長)が議長となり招集も実施することとなります。
○取締役に関する事由(員数・選任方法・任期・代表など)⇒譲渡制限会社の場合、取締役の任期は10年まで伸長することができます。また、代表取締役の選定方法としては、株主総会・取締役の互選のどちらとするのか?等を定めます。
○事業年度など会社の計算に関する事由⇒付随事項となりますが、会計年度をいつにするのかを記載
■附則事項 
○設立に際して発行する株式数⇒設立時の登記事項のひとつ、一株いくらで合計何株を発行するのかを記載
○設立に際して出資される財産の価格など⇒設立時の登記事項のひとつ資本金です。
○最初の事業年度⇒例えば事業年度を4月1日から翌年3月31日とし、設立を9月1日にする場合、最初の事業年度は、設立の日からその翌年の3月31日までとなります。
○発起人に関する事項⇒定款の絶対必要事項です。だれが発起(出資)し、何株ずつとなるのか等を記載します。
○最初の設立時取締役に関する事項⇒通常は定款作成時には役員も決まっているはずです。それらを反映します。
他にも、会計参与や監査役の設置や、単元数の事項・取締役会の設置・など、その会社の規模や運営により定めていくことになります。
上記は、非取締役会設置の小規模会社(発起設立)の項目例です。

◇定款とは、その会社の根本規則であり、その運営についての取り決め事項や本来記載せずとも、同じ効力が発生する確認的な事項についてもを記載しているケースが多いです。
・株主総会の決議定足数を増減させたりする事
・取締役会や監査役・会計参与を設置する
・役員の任期を伸張する
など、様々な形でその会社の実情により適したルールを定款により定めるという事になります。
(ただし、無条件で好き勝手できるものではないことに注意してください)
・役員の任期を無制限にする
・公告はしない
などの事項はできないということです。

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